エリは、不貞腐れた顔で事務机の前に立っていた。
 場所は管理人室。目の前にはフィルチ。エリを捕らえたフィルチは、どのような罰で痛めつけようかと楽しげに話している。
「ホグワーツも、鞭打ちが許可されていれば良いのに――貴様らには、それぐらいせんと懲りないようだからなあ? 手首を引っ括って吊るすのでも良い――」
 フィルチの声は、激しい爆竹のような音に掻き消された。
 反射的に、フィルチは廊下へと飛び出す。一度飛び出してから再度部屋に顔だけ突っ込み、言った。
「そこで待ってるんだぞ!」
 脅すように言い残すと、バタバタと爆音のした方へと駆けて行ってしまった。
 当然、大人しく待っている理由など無い。フィルチが確実に遠ざかったのを確かめると、エリは管理人室を出て行った。
 なるべく速く離れようと隠し通路に入った所で、フレッドとジョージに出会った。
「上手く逃げられたか?」
「時限式なんだ。奴さん、今頃誰もいない所で怒り狂ってるぜ」
 二人は得意気に話す。
 エリはニヤリと笑った。
「やっぱりあれ、二人だったんだな。サンキュ」
「まあね。でも、珍しいな。エリが捕まるなんて」
 フレッドの言葉に、エリはまた不貞腐れた表情になった。
「……今までの逃げ込む先が、使えなくなったんだよ」
 クリスマスの一件以来、エリは授業以外でスネイプの教室を訪れていなかった。





No.91





 学期が始まって一週目に、レイブンクロー対スリザリンの試合があった。結果は、僅差と言えどもスリザリンの勝利。これは、グリフィンドールにも喜ばしい事だった。レイブンクローさえ負かせば、グリフィンドールは二位に浮上する事が出来る。ウッドは燃え上がり、練習を週五回に増やした。ハーマイオニーは沢山の宿題に追われていてサラがバックビークについては殆ど調べていたが、そうも行かなくなってしまった。ハーマイオニーは日増しにストレスが溜まって行っている様子だったが、それでもバックビークの事を忘れてはいなかった。サラがやると言ってハーマイオニーの負担を減らそうとしても、実際のところクィディッチで忙しく、それを指摘されると返す言葉が無かった。
 当然、シリウス・ブラックへの復讐なんて考えている暇も無かった。寧ろ、あまりの忙しさに殆ど忘れかけてもいた程だった――日刊預言者新聞で、彼の記事を目にするまでは。
 二月になってもファイアボルトは帰って来ず、ハリーやロンとは口を利かないままだった。ハリーが変身術の授業が終わる度にマクゴナガルに箒の事を尋ねているのには気付いていたが、サラもハーマイオニーも何も言わなかった。言えなかった。

 シリウス・ブラックの名前を久しぶりに見かけたのは、ある朝の事だった。
「今日の午後はクィディッチの練習は無いのよね? そろそろまた、ハグリッドの所に集まった資料を持って行きましょう。授業の後直ぐ、明るい内に――」
 サラはハーマイオニーの言葉を聞いていなかった。視線は、正面で広げられた新聞紙の一面に釘付けだった。
『魔法省、シリウス・ブラックへの吸魂鬼の接吻を許可――』
「シェーマス、ちょっと新聞を広げすぎよ」
「ああ、ごめん」
 シェーマスは、隣に座るディーンの方まで掛かっていた新聞を二等分に折り畳んだ。シリウス・ブラックの記事は、内側に隠れてしまう。
 サラの隣では、ハーマイオニーがじとっとした視線をサラに向けていた。目が合い、ハーマイオニーは口を開く。
「サラ。何度も言っているけど――」
「心配しないで。解ってるわ」
「……」
 ハーマイオニーは明らかに納得していない様子だった。
 サラは肩を竦める。
「本当よ。だって、魔法省に任せておけば吸魂鬼の接吻よ? 私が馬鹿な事をする必要なんて無いじゃない。早く魔法省が見つけてくれるといいわね」
 サラは手元のグラスにミルクを注ぐ。
「いる?」
「ええ、お願い」
 差し出されたハーマイオニーのグラスにも、ミルクを注ぐ。
 ハーマイオニーは、シェーマスの持つ日刊預言者新聞をちらりと見た。
「でも、恐ろしいわよね……吸魂鬼の接吻なんて……」
「当然の報いよ」
 サラは、あっさりと切り捨てた。
「安心したわ、魔法省も本気みたいで」
 ハーマイオニーにはそう言ったものの、内心サラは焦っていた。
 吸魂鬼の接吻。それがどういうものだか、サラは本で読んだ事がある。簡潔に言えば、魂を抜かれるのだ。自分が何者だか判らなくなり、全ての感情や思考の一切を失う。それは、死よりも酷な処刑とも言われている。
 ――そんな事、させるものですか。
 死よりも酷な処刑、確かに傍目からはそう思えるだろう。だが、本人はどうだ。何の痛みを感じる事も無く、自分の行いを忘れてしまう。祖母や親友を裏切り、ヴォルデモートに売った事を忘れてしまうのだ。何の後悔も無いままに、報いを受ける事も無いままに、何も無い空虚へと去ってしまう。
 そんな事は、絶対に許さない。
 彼が行った事への報いを与えなければ気が済まない。何としても、魔法省より先に見つけなくてはいけない。
 そうは思っても、終始ハーマイオニーの目が光っていてサラは身動きが取れなかった。全科目を選択しているハーマイオニーは、どの授業でもサラと一緒だ。ハグリッドならば、クィディッチの練習帰りに寄る事が出来そうだ。明日までの我慢か。
 それでも、チャンスがあるならば逃す手は無い。
 午後、呪文学の教室の後、突然ハーマイオニーがいなくなった。いつものだ。何をしているのか分からないが、サラにとっては好都合だった。
 踵を返し、サラは足早にその場を離れた。いつもと同じならば、いなくなっても直ぐに別の方向から現れる。その前にこの場を立ち去らなければ、いつ来るか分からない次の機会を待つ事になってしまう。
 教室を出たばかりのグリフィンドールの集団を離れ、サラは一人廊下を歩く。他の教室からも、授業を終えた生徒達が続々と出て来ていた。
 この場所からは――「闇の魔術に対する防衛術」の教室が近い。

 教室の前に着いた時には、もう廊下の生徒達は大分少なくなっていた。
 戸を叩き、少し待つ。出て来たルーピンは驚いた素振りも無く、いつもの穏やかな笑顔でサラを迎え入れた。
「その内来るだろうと思っていたよ。――予想していたよりは、遅かったね」
「ハーマイオニー達が邪魔をして来て。それに、バックビークの事やクィディッチの練習もありますから。
……それじゃ、聞いてるんですね? ――ナミから?」
 サラは戸口に立ったまま、問い詰める。ルーピンは微笑っただけだった。
 ルーピンは、ナミと親しい様子だった。ならば、彼も知っていた筈だ。シリウス・ブラックがサラの父親であった事を。
 だが今は、そんな事を詰問するつもりは無かった。時間が無い。いつ、ハーマイオニーが気付いて止めに来るか分からない。今は兎に角、必要な手掛かりを集めるのが先決だった。
「ルーピン先生は……ナミやハリーのご両親と親しかったんですよね? それじゃ、ブラックも……?」
 ルーピンは真っ直ぐな目でサラを見つめ返す。そして、ゆっくりと頷いた。
「そうだね……でも、もう昔の話だよ」
「別に、先生を疑うつもりは毛頭ありません。ただ、一つ質問をさせてください。
ホグワーツ周辺に、ブラックの思い出の場所とかはありますか? 誰も近寄らず、隠れ家のようにしていた場所とか……」
「何処に身を隠している可能性が高いか、って事かい?
……君は、それを知ってどうするつもりだい?」
「……」
 逆に尋ね返され、サラは黙り込む。
 彼が言おうとする事は解っている。どうせ、ハーマイオニーやロンと同じ事を言うのだろう。
 サラの予想は当たっていた。
「君が気にする事は無い。きっと、既に言われているだろうけれど、自ら危険を冒そうとしてはいけないよ。可能性がある場所は、私達教師や魔法省が調べている。――彼を見つけたいと思っているのは、我々も同じだ」
「――私、先生がどうして一月に一度休んでいるのか、知っていますよ」
 サラは淡々とした口調で言った。ルーピンの瞳に、僅かな動揺が現れる。
 サラは口の端を上げて哂う。
 卑劣な手口だ。自覚はあったが、手段など構っていられなかった。
「知っている情報を教えてくださらないなら、『隠している』と判断します。
もう一度尋ねます。――シリウス・ブラックの潜伏先として可能性があると、貴方が思う場所は何処ですか?」
 一時の沈黙が流れる。教室の外で、幽かに衣擦れの音がした。
 ルーピンは口を開いた。
「――私は君の先生だ。君を危険から遠避けられるなら、私が疑われるのぐらい安いものだよ」
 サラはぎゅっと拳を握る。
 もう、彼の瞳に動揺は無かった。迷いの無い真っ直ぐな目で、サラを見つめていた。
「……失礼します」
 ただ一言それだけ言って、サラは教室を後にした。

「わっ!」
 扉を開いた途端、目の前でドラコが飛び上がった。扉の前にいたようだ。
 サラは構わず、後ろ手に教室の扉を閉める。
「……」
「……」
 至近距離で顔を突き合わせる形になっていたが、サラの顔に表情は無く、ドラコもただ慌てるばかりだった。
「えっと――」
「聞いてたの?」
 ドラコの言葉を遮り、サラは静かに尋ねる。
「――まあ、聞かれて困る会話ではないけど。
面倒そうではあるけどね。貴方も、皆と同じ事を言うのでしょう?」
 サラは横に離れ、ドラコに背を向ける。歩くサラの後を、ドラコはついて来た。
「それじゃあ、やっぱり……」
「ええ。シリウス・ブラックを捜すつもりよ。
でも、随分な偶然ね。たまたま通りかかったの?」
「一人で何処かに向かってるサラを見かけたからだよ。――君は、気付いてなかったみたいだけど。
そうじゃなくて――話を逸らすな。ブラックを捜すなんて、止めておけよ。そんなの、自分から危険に飛び込むようなものじゃないか」
「あら。貴方、ハリーに言ってなかった? 『僕なら、自分で追い詰める』って」
 ドラコは罰の悪そうな顔になった。
「それは――ポッターが馬鹿をやればってだけで――
……待てよ。
それじゃ、まさか、見つけるだけじゃなくて復讐まで考えてるのか? そうだ。この間、図書館で見てた本――
サラがそんな事する必要無いじゃないか。放っといても、魔法省が見つけて奴には吸魂鬼の接吻が施行されるんだ。今朝、日刊預言者新聞にそう書かれていた」
「だからよ。後悔に苦しむ事も無いまま、何も判らない状態になるなんて、許せないわ。何としても、魔法省より先に見つけなきゃ――」
「駄目だ!」
 ドラコは突然、サラの肩を掴んだ。サラは、感情の無い灰色の瞳をドラコに向ける。
「駄目だ――危ない真似はしないでくれよ。頼む――ブラックなんかの為に、サラが手を汚す必要なんて無いだろ――」
 サラはそっとドラコの腕を外す。
 そして、微笑んだ。ドラコは安堵する。
「大丈夫よ、ドラコ。私だって、死ぬつもりなんて無いわ」
「それじゃあ――」
「でも、おばあちゃんは死喰人に殺されたのよ。裏切り者の死喰人を許せる訳ないじゃない。好都合だわ……向こうも、私やハリーを捜してくれているのでしょう……」
 ドラコは、そのままサラを抱き寄せていた。
 サラは狼狽するような声を上げている。
 泣き出してしまいたかった。サラには、誰の声も――ドラコの声も、届いていないのだ。





 ハーマイオニーは先にグリフィンドールに戻っていた。サラは、ハーマイオニーを捜していたのだと言い訳をした。それで納得はしていないだろうが、ハーマイオニーは黙り込んだ。
 その日の午後は、ハグリッドの小屋で過ごした。バックビークの事になるとハグリッドは落ち着きが無くなるばかりで、サラとハーマイオニーの説明がきちんと耳に入っているのか疑わしい状況だった。それでもハグリッド自身も「しっかりしなくては」と言う自覚はあるようで、サラ達も一生懸命噛み砕いて話した。
 その後は宿題だ。クィディッチの練習が無い日は少ない。今夜の内に、済ませられるだけの宿題を済ませてしまわなくてはいけない。サラの溜まっている宿題も多いが、ハーマイオニーは更にその上を行っていた。サラも取っている教科に加え、数占いやマグル学、古代ルーン語の宿題がテーブルの上に広げられている。どれもこれも、長いレポートばかりだ。決まった長さを超えればそれで良いではないかともちかけた事もあったが、ハーマイオニーは口を真一文字に結んで唸るだけだった。同じ教科は写すかなんて持ちかければ、怒られるだけだろう。
 突然、背後で歓声が上がった。
 ちらりと振り返ると、マクゴナガルが入って来た所だった。その手には箒が握られている。ロンやウッドが、真っ先に駆け寄って行っていた。
 しかし、この場にハリーはいない。ルーピンとの吸魂鬼対策の授業に行っている。その事をロンから聞いたマクゴナガルは、そのまま談話室を出て行った。グリフィンドール生達は、興奮してさざめき合っている。ロンはいてもたってもいられず、ハリーを迎えに談話室を出て行った。
「ファイアボルト、返って来るみたいね」
「……そうね」
 ハーマイオニーは短く答えただけだった。素早くページを捲りながら、マグル学の作文に没頭している。
 返って来ると言う事は、何も呪いは掛けられていなかったのだろうか。では何故、贈り主はあんな高価な物をハリーに贈ったのだろう。一体誰が、何の目的があって? 何故、名前を明かさない? 贈り主の名前が入ったカードさえ添えてあれば、こんな面倒な事にはならずに済んだのだ。
 シリウス・ブラックではなかったのだろうか。名前を「明かさない」のではなく、「明かせない」と言う訳ではなかったのだろうか。
 生徒達はちらちらと肖像画の裏戸の方へ視線を走らせ、今か今かとハリーの登場を待ち構えている。
 ぱっと肖像画の裏の扉が開いた。皆一斉に、そちらへ顔を向ける。
 入って来たハリーは、あっと言う間に皆に取り囲まれていた。
「ハリー、何処で手に入れたんだい?」
「僕も乗せてくれる?」
「もう乗ってみた、ハリー?」
「レイブンクローに勝ち目は無くなったね。皆クリーンスイープ7号に乗ってるんだもの!」
「ハリー、持つだけ。持つだけだから、いい?」
 皆口々にハリーに話し掛け、ファイアボルトは手から手へと渡されている。魔法史のレポートよりも、ずっと楽しい事だろう。
「気になるなら、行って来たら?」
 うずうずしているサラに気付き、ハーマイオニーが顔を上げずに言った。手元の宿題は、古代ルーン語の翻訳に変わっている。
 サラは、ふいと騒ぐ輪から顔を背けた。
「そりゃあ、箒は気になるわよ。でも彼らの態度を忘れた訳じゃないわ……」
 そして再び魔法史の宿題に戻る。

 終わって次の占い学に取り掛かろうとした時、ハリーとロンがこちらへ来る事に気がついた。しかし何の反応もせず、占い学の教科書と羊皮紙をテーブルの上に広げる。
 正面に座るハーマイオニーが顔を上げ、漸くサラも顔を上げ振り返った。
「返してもらったんだ」
 ハリーがにっこりと笑い、ファイアボルトを軽く持ち上げて示した。
 ハリーが気まずげに笑う一方、ロンは兎に角嬉しそうだった。やや、したり顔にも見える。
「言っただろう? ハーマイオニー、サラ。なーんにも変なとこは無かったんだ!」
「あら――あったかも知れないじゃない! 少なくとも、今は安全だって事が判った訳でしょう」
「マクゴナガル先生に預けたから、安全だって判っただけなのよ。ブラックからじゃなかったなら、良かったけど――」
「うん、そうだね。僕、寝室の方に持って行くよ」
「僕が持って行く!」
 ロンが名乗り出た。ファイアボルトに触れたくて仕方が無いらしい。
「スキャバーズにネズミ栄養ドリンクを飲ませないといけないし」
 ロンは、ガラス細工でも持っているのかと言うくらい慎重にファイアボルトを抱え、男子寮への階段を昇っていった。
「座ってもいい?」
「構わないわよ」
 サラも、黙って頷く。ハーマイオニーが、椅子に積んでいた羊皮紙の山をどけた。
 ハリーは、どう言葉を掛けて良いか判らない様子だった。ただ黙って、テーブルの上をまじまじと見つめていた。テーブルの上に広がっている宿題は殆ど、ハーマイオニーの物だった。クィディッチの練習は無いとは言え、よくこれだけの宿題を終わらせられるものだと感心する。
「こんなに沢山、一体どうやって出来るの?」
 ハリーがハーマイオニーに尋ねた。
「え、ああ――そりゃ――一生懸命やるだけよ」
「いくつかやめればいいんじゃない?」
「そんな事出来ない!」
 サラは、手近にあった分厚い辞書に目を留める。
「ハーマイオニー、これじゃない?」
 ハリーはハーマイオニーの数表を摘み上げていた。
「『数占い』って、大変そうだね」
「ありがとう、サラ――
そんな事ないわ。『数占い』って素晴らしいのよ! 私の好きな科目なの。だって――」
 熱弁を始めようとしたハーマイオニーの声は、押し殺したような叫び声に遮られた。
 男子寮だ。サラはパッと立ち上がる。まさか――まさか――
 サラが駆け出す前に、慌しい足音が聞こえて来た。走って来ているのはロンだ。
 やがて談話室に現れたロンは、ベッドのシーツを引きずっていた。
「見ろ!」
 ロンは荒々しく近付いてきて、大声を出した。
「見ろよ!!」
 叫び、ハーマイオニーの前でシーツを激しく振る。ぶつかった羊皮紙の山が崩れるのも、気にしない。
「ロン、どうしたの――?」
「スキャバーズが! 見ろ! スキャバーズが!!」
「何よ、一体――」
 唖然としているハーマイオニーを詰め寄るロンから引き離し、サラはシーツに視線を落とす。
 突き出されているシーツを順々に目で辿ると、何やら赤い物が視界に入った。まるで――
「血だ!!」
 誰も、一言も発しなかった。
 ただロンの叫ぶ声だけが、談話室に響く。
「スキャバーズがいなくなった! それで、床に何があったか分かるか!?」
「い、いいえ」
 ハーマイオニーは震える声で答える。
 ロンは、ハーマイオニーの翻訳文の上に小さな何かを投げつけた。サラ、ハリー、ハーマイオニーはそれを覗き込む。
 びっしりと書き込まれ黒っぽくなった羊皮紙の上に散らばったのは、長いオレンジ色の猫の毛だった。


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2010/02/23