「誕生日おめでとう、サラ」
そう言って、祖母は微笑む。
渡された紙袋に、サラはぱあっと顔を輝かせた。寒さに口を尖らせたり、ちょっとした事で明るく笑ったり。幼いサラの表情は、ころころと変わった。
突然、崖の上に現れた死喰人。
その姿は、祖母の背に隠され見えない。
「何か後ろに隠しているな?」
敵に背を向け、祖母はサラに向かって杖を振った。
サラの身体は浮き上がり、林の方へと放り投げられた。ほんの一瞬、目にした二つの影。冷たい仮面の男。そしてそれらの向こうで、崖先から放り出される祖母の身体。
伸ばした手は、空しく空を掴んだ。
あの日、あんな崖へ行っていなければ。
あの日、二人っきりになっていなければ。
二人の居場所が、家の中にあれば。
日本のあの家で、暮らしていなければ。
シリウス・ブラックが、裏切りさえしなければ――
……信じていたのに。
――父親は、おばあちゃんみたいに愛してくれていたんじゃないかって、信じてたのに……!
No.94
冷たい廊下に、サラの走る足音と息遣いが響く。
前を行く気配も、ホグワーツの内部には明るいらしい。彼を追う事で、幾つもの隠し通路を初めて知った。
――許さない。
絶対に許すものか。絶対に逃すものか。
この手で捕まえるのだ。この手で制裁を加える。魔法省の温い刑なんて、彼には足りない。
サラの乗った階段が動き出す。下方に人影が見えた。下の階段を、奴は走っている。
何の躊躇いも無く、サラは階段の手摺りを飛び越えた。
下は階段。当然着地は難しく、段違いに足をついた事でバランスを崩す。頭を庇い、階段下まで転げ落ちた。下まで落ち、直ぐに手を着き立ち上がる。少し先の角を、男の後姿が曲がって行った。
舌打ちをし、駆け出す。エリならば、こんな場所でも上手く着地出来たのだろうか。あの子は、思いがけない場所から降ってくる事がままある。
それでも、随分と距離を縮める事が出来た。彼もそれに気付いているらしい。頻繁に角を曲ったり扉を抜けたりする。サラに魔法をかける間を与えない。
奴もサラの命を狙っているのではないのか。振り向いて、襲い掛かってくれば良いのに。あるいは、ナイフしか持っていないのかも知れない。杖とナイフでは、その優劣は歴然としている。
相手がハンデを抱えていようとも、サラには何の関係も無い話だ。甚振りやすいと言うだけの事。
ふっと前を行く魔法使いの気配が消えた。
サラが駆け込んだ先は、玄関ホールだった。ばたんと樫の扉が閉まる。サラは真っ直ぐに玄関ホールを横切り、外へと飛び出した。
外には、誰もいなかった。森や温室までは、距離がある。気配が消えたのは、ちょうど扉の所だった。カモフラージュに開けて他へ隠れるような間なんて、無かった。奴は確かに、外へ出た筈なのだ。
暗闇の中に動く物音を聞き、サラはパッとそちらを振り返る。
月明かりに照らされ、大きな黒犬がこちらを見つめていた。向けた杖の照準を外し、サラは辺りを見回す。今の少ない時間で、何処に隠れたと言うのか。それとも、杖か透明マントのようなものでも持っていたのだろうか。
憎々しい。
向こうから出向いて来た、またと無いチャンスだったのに。あんなにも近くまで追い詰めていたのに。
「――出てきなさい、シリウス・ブラック!」
暗闇に向かって、サラは叫ぶ。
「逃げるつもり!? 貴方は私の命を狙っているのでしょう! 私は逃げも隠れもしないわ!! 貴方の相手をしてあげる!」
答える声は、無い。
「出て来い!! 卑怯者! 裏切り者!! 殺してやる……殺してやる……っ」
叫び、足を踏み出す。
逃げるとすれば、森の中ぐらいだろう。まだ、そう遠くへは行っていない筈だ。
森へと歩いて行くサラの腕を、突然何者かが背後から掴んだ。
「……っ!」
「何考えてるの! 諦めなさい!!」
ナミだった。
隠し通路を駆使して何とか追いつく事が出来たナミは、息を切らしていた。
掴んだ腕は、パシッと払われる。
「……邪魔するつもり?」
「当然でしょう。あんた、自分がどれだけ危険な真似をしてるか――」
「今更、母親面しないで!」
ナミは言葉を失う。
サラは冷たい眼差しで、ナミを見据えていた。
「貴女、散々言っていたじゃない。私は貴女の娘じゃないって。私もお断りだわ。貴女も、シリウス・ブラックも、親だなんて思わない……貴女なんか、母親じゃない……!」
叫んだサラの顔が、十四年前の自分と重なって見えた。ナミを散々突き放し続けた母親。
ずっと、サラが自分を拒絶していると思っていた。サラが母と重なって見えた。
だが、違ったのだ。サラは、あの頃のナミと同じだった――ナミは、己の母がしてきた仕打ちを、サラに繰り返してしまっていたのだ。
沈黙の中、幽かに芝生の踏まれる音がした。
二人は同時に振り返る。マクゴナガルが、月明かりの中に佇んでいた。
「何という危険な事を――グリフィンドールから、五点ずつ減点します。
……帰りますよ。ナミ、サラ」
寮へと向かう間、三人は一言も話さなかった。
ナミはそっとマクゴナガルを見上げる。一体、何処から聞こえていたのだろう。
帰路、シリウス・ブラックを捜索する何人かの教授達とすれ違った。だが、恐らく彼を最も早く追い駆けて行ったのはサラだ。そのサラが外にいたのだから、彼はもう城内にはいないだろう。
やがて、グリフィンドール寮の前に着いた。決闘を挑んでくるガドガン卿を軽くあしらい、合言葉を告げる。
サラの後に続いて談話室へ入ろうとすると、マクゴナガルに呼び止められた。
「ナミ、これを――」
マクゴナガルが差し出したのは、一枚の紙切れだった。ナミは、きょとんとしながらも受け取る。
それは、ホグズミードの許可証だった。マクゴナガルがサインしている。
驚いて許可証から顔を上げる。マクゴナガルは、微笑っていた。
「私は貴女の母親から後見人を任されました。今でも、貴女を娘のように思っている事は変わりませんよ」
「……あり……がとう……」
深く深く頭を下げ、やっとの思いでナミは言った。他には何も言えなかった。
マクゴナガルには、迷惑をかけどおしだった。彼女は決して甘い人物ではなかったが、それでも厳しさの中には情熱と優しさがあった。ナミは、彼女にも何も告げずに出て行ってしまった。授業は受けながらも、どうにも避けがちだった。会わせる顔が無いと思っていた。
――でも……。
出来る事なら、その言葉はシャノンの口から聞きたかった。そう思うのは、ワガママと言うものだろうか。
翌朝は、城中シリウス・ブラック侵入の話題でもちきりだった。警備は尚更厳重になり、扉と言う扉にはシリウス・ブラックの人相写真が貼られた。フィルチは穴と言う穴――小さな隙間にまで、板を打ち付けて回っていた。ブラックを通してしまったガドガン卿はクビになり、太った婦人が戻って来た。これには生徒達は大歓迎だったが、思ったほど良くはならなかった。婦人はまだ神経を尖らせていて、彼女の護衛の為にトロールが数人、グリフィンドール寮の入口をうろつく事になった。
ロンはどう言う訳か、得意気な様子だった。誰かに聞かれる度に、彼はブラックに襲われた時の事を大げさな脚色を踏まえて話して聞かせた。ブラックを追った事であの晩ハーマイオニーにこっ酷く叱られたサラは、その話が聞えて来る度に罰が悪かった。ハーマイオニーは、心底心配していた。
「信じられないわ……どうして、あんなに得意気に話せるのかしら。若しかしたら、殺されてたかも知れないのに……そうなってたら、私、きっと後悔したわ……!」
そう言って、今にも泣き出しそうになるのだった。
バッグビークの裁判に関する資料集めは、佳境に入っていた。とは言っても、宿題の量は変わらない。クィディッチは次の試合まで、まだ間がある。図書館へは、サラ一人で行く事が多くなった。その代わりに、ハグリッドの所へはサラの練習中にハーマイオニーが持って行った。シリウス・ブラックの件でハグリッドに探りを入れないように、と言う事もあるのだろう。一度は逃したというものの、決して復讐を諦めた訳ではなかった。
月曜日、ホグズミード行きの連絡が掲示された。サラとハーマイオニーは顔を見合わせる。二人の胸中に浮かんだ事は、一緒だった――ハリーは許可証を持っていない。そして、前回ハリーとナミが使用した通路は、誰も警戒している様子がなかった。そればかりが気がかりで仕方が無かった。
案の定、宿題をしていると本の山の向こうから声が聞こえて来た。
「――どうする?」
「そうだな。フィルチはハニーデュークス店への通路には、まだ何にも手出ししてないし……」
「ハリー!」
ハーマイオニーが、本の山に隙間を開けて声をかけた。
「ハリー、今度ホグズミードに行ったら……私、マクゴナガル先生にあの地図の事お話しするわ!」
「ハリー、誰か何か言ってるのが聞こえるかい?」
「私もハーマイオニーに同意見よ。ブラックは、ハリーの命を狙ってるのよ? 解ってる?」
サラも立ち上がり、口添えする。
ハーマイオニーが更に続けた。
「ロン、貴方、ハリーを連れて行くなんてどう言う神経? シリウス・ブラックが、貴方にあんな事をした後で!
本気よ。私、言うから――」
「そうかい。君は、ハリーを退学にさせようって訳だ! 今学期、こんなに犠牲者を出しても、まだ足りないのか?」
ハーマイオニーは口を開いたが、そこへクルックシャンクスが彼女の膝に飛び乗ってきた。ハーマイオニーはぎょっとしたようにロンの顔色を伺い、クルックシャンクスを抱きかかえて女子寮の方へと去って行った。
「それで、どうするんだい?」
「私も反対だって言ってるでしょう」
何事も無かったかのように話を再開するロンに、サラがピリピリと言った。
しかし、ロンは徹底的に無視するつもりだ。
「行こうよ。この前は、君、殆ど何にも見てないんだ。ゾンコの店に入ってもいないんだぜ!」
「ロン!
ハリー、駄目よ。シリウス・ブラックは、あの通路を使ったのかも知れないのよ――」
この言葉は、やや効果があったらしい。ハリーは一瞬、どきりとした表情を見せた。
しかし、ロンは引き下がらない。
「ブラックが、ハニーデュークスにのこのこ入って行ったって言うのかい? そんな事をすれば、とっくに大ニュースになってるさ!」
「奴はホグワーツ城に入ってきたのよ! 貴方が殺されそうになる寸前まで、誰にも見つからずに!」
ロンも黙り込んだ。二人は不安げに顔を見合わせる。
サラは僅かに優越感を漂わせて、とどめの一言を言った。
「ハリー、貴方が一人であの通路を通って行けば、ブラックにとっては格好の餌でしょうね。いい? ブラックは、貴方の命を狙っているの――」
しかしとどめの筈の一言は、切り替えされた。
「命を狙われてるのは、君もじゃないか! それを理由に行くなって言うなら、君だってホグズミードに行くなよ」
「あら。今度のホグズミードは、元々行かないつもりよ。――貴方達、今度の土曜日が何の日だかお忘れ?」
「何だって言うんだ?」
ロンは苛々と言う。
サラは呆れて答える気にもなれなかった。本当に忘れているらしい。
「何にせよ、ハリーが一人じゃなければいいんだろ? 一人にはならないよ。ナミも一緒にいるさ」
「あら。彼女だって、今回は反対すると思うわよ。クリスマスでも何でも無いんだから。――ナミ!」
サラは、離れた所でフレッドやジョージと話しているナミを呼ばう。
ナミは驚いたように振り返った。目をパチクリさせながら、こちらへと来る。何処か気まず気な様子だった。
「えーと、何――?」
「今度の週末、ホグズミードでしょう。当然、またハリーを連れ出したりなんてしないわよね?」
ナミは、とんでもないという風に首を振った。
「当たり前じゃない。そんな事――」
そして、サラ達が何を問答していたのか気がついたようだった。キッとロンとハリーに視線を向ける。
「まさか、ハリー――また抜け出すつもりだったの?」
「何だよ。前回はナミも一緒に抜け出したじゃないか! 共犯だろ」
「前はクリスマスだったからね。でも今回は、絶対に駄目。許可証も無いのに、こっそり抜け出すなんて――この前の事があったばかりなのに――」
「でも、ブラックがハニーデュークスに忍び込む訳がない。そもそも、あの道を知ってるかどうかも――」
「あの地図に書かれてる通路は、全部ブラックにも筒抜けだよ」
サラは目を見張った。
ロンは眉を顰める。
「何でそんな事がナミなんかに分かるんだ? そんな脅し、効くもんか。大体、あの地図や通路の事を話せば、ナミだって咎められるんだ――」
「どうぞ? ハリーが馬鹿な事をしないで済むなら、それくらい痛くも無いよ」
ナミは口の端を上げて笑う。
一緒だ、とサラは思った。ナミの瞳は、サラが問い質しに行った時のルーピンと同じ類の物だった。
「行かないよ」
ハリーが言った。
「僕、行かない。それでいいだろ。
それじゃ、僕達、宿題をしなきゃ――」
不自然な程にあっさりとした回答だった。しかしこう言われては、これ以上何も言えなくなってしまう。
驚いた様子のロンを引っ張って、ハリーは離れた机へと移動する。
サラはナミを横目で見上げた。ナミは頷く。
「解ってる。週末は、絶対ハリーから目を離さないようにするよ――あんたは、裁判でしょ? あー……」
「それが?」
続きが言えずにいるナミに、サラは冷たく返した。ナミは肩を竦め、フレッドとジョージの方へと戻って行った。
内心、驚いていた。
ナミは、サラには何の関心も無いものだと思っていたのに。
土曜日。ハリーはロンを見送ると、急いで四階へと向かった。隻眼の魔女の像の裏にうずくまり、地図を確認する。ネビルと書かれた吹き出しの付いた点が、こちらへ向かって来ているだけだ。
「ディセンディウム!」
唱えて鞄を突っ込んだ途端、背後から声が掛かった。
「やっぱり、来たんだね。ハリー」
ハリーは驚いて振り返る。ナミが腕を組んで立っていた。
地図にも、その位置に点が現れている。
「どうして――」
「隠し通路や隠し部屋の中には、地図に載るのを嫌う物もあるからね」
ナミは説教モードに入ろうとしたが、そこへもう一人現れた。
「ハリー! ナミ! 君達もホグズミードに行かなかったんだね。僕、忘れてた!」
「やあ、ネビル」
ハリーは慌てて像から離れ、地図をポケットに押し込んだ。ナミはじとっとした瞳でそれを眺めていた。
ネビルは先日の合言葉放置の罰で、ホグズミード行きを禁じられてしまった。他の三年生達は皆、ホグズミードへ行ってしまっている。退屈しているネビルは、自分達と過ごそうと考えているようだった。当然、ハリーは歓迎しない様子だ。
二人が話していると、更なる人物がその場に現れた。ネビルは息を呑み、ハリーの後ろに隠れる。
角を曲って現れたのは、セブルスだった。
「ほう? 三人とも、ここで何をしているのかね? 奇妙な所で待ち合わせるものですな――」
セブルスの目は順々に三人を見た。ハリーを見た後、隻眼の魔女の像へと移る。ナミは何も言わなかった。
ハリーが慌てて言った。
「僕達――待ち合わせしたのではありません。ただ……ここで、ばったり出会っただけです」
セブルスは疑るような目をハリーに向ける。
「ほーう? ポッター、君はどうも予期せぬ場所に現れる癖があるようですな。しかも殆どの場合、何も無くしてその場にいると言う事は無い……。三人共、自分のいるべき場所、グリフィンドール塔に戻りたまえ」
三人はそそくさとその場を離れた。
ちらりと背後を振り返ると、セブルスは念入りに像を調べていた。
「太った婦人」の肖像画の前で合言葉を唱え、ハリーは「あっ」と声を上げた。
「僕、図書館に吸血鬼のレポートを忘れて来ちゃったみたい――」
言うが早いか、ハリーは走って元来た道を戻って行った。
「私も!」
ネビルに告げ、ナミも慌てて走り出す。
ハリーはなかなか足が速かった。行き先の読める一本道では隠し通路を駆使する事も出来るが、それでも徐々に引き離されて行く。今は若返っているとは言え、元々は三十代のナミ。体育なんて、もう十何年も昔の事だ。
隻眼の魔女の像の所に着いた時には、既にその場にハリーはおらず、中の鞄も無くなっていた。
ナミは踵を返し、再び廊下を走る。このままハリーを追った所で、ナミが着いた時にはとうにハニーデュークスから出ている事だろう。ならば、正面から探した方が早い。その前に、人員も増やしておいた方が良い。
ナミが駆け込んだ先は、リーマスの部屋だった。ぜいぜい言いながら飛び込んできたナミに、リーマスは目を丸くする。
「どうしたんだい? ホグズミードの許可証を貰ったんじゃ――」
「ハリーにまかれた!」
何の事か解らず、リーマスは目をパチクリさせる。
ナミは息を整えながら言った。
「ハリー、忍びの地図を持ってるの――それを使って、行こうとしていて。止めようと張ってたんだけど、セブルスが来て一端退けて――それで――」
「地図を? ハリーがかい? まさか――」
「私が渡したんじゃないよ。そんな事、する訳無いでしょ。こんな危険な時に……。
ハリーは、隻眼の魔女の像の所から抜け出したんだと思う――」
「どうして、それを教えてくれなかったんだ。その地図の製作者に彼も含まれている事ぐらい、君も知っているだろう?」
リーマスは厳しい口調で言った。
ナミはしゅんと項垂れる。
「ごめんなさい……」
「――兎に角、今はハリーの事が最優先だ。連れ戻さないと……」
「私、ホグズミードに言って来るよ。許可証のサインも貰った事だし。
リーマスは、城内で待機していて。あまり大事にはしたくないじゃない? 地図の事も絡んでくるから……セブルスも怪しんでる様子だったし……」
「それは……不味い事になりそうだね……」
リーマスは苦笑する。
部屋を出て行こうとしたナミの背中に、リーマスの声が掛かった。
「――君は、私を疑わないんだね」
ナミはきょとんとした顔で振り返る。
リーマスは笑っていたが、何処か寂しそうだった。
「私は、彼と親しかった。それに――人狼だ」
ナミは目を瞬き、それからふっと笑った。
「何言ってるの。それを言ったら、私も一緒でしょ。人狼なんて、ただちょっと満月見たら四本足になっちゃうだけじゃない。セブルスにでも、また何か言われた?」
「いや……彼には何も言われていないよ。
引き止めて悪かったね。急いだ方がいいだろう?」
「あんまり卑屈になりなさんな」
言って、ナミはリーマスの部屋を出て行った。
急ぎたいところだが、ホグズミードまで走り続けるのは無理がありそうだ。
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希望求めし少女たちは
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2010/03/22