例え双子でも、違う境遇で育てば違った性格の子になると言う。クラス、友人関係、そう言った些細な違いが、二人の間に違いを作っていく。
 では、同一人物ならばどうなのか。

 それぞれの身に起こった、些細な「違い」。
 それは、二人の自分自身を分かつ賽となったのだ。





No.1





 何処か異国の町を思わせる家並み。町中に響くラジオ放送。
 かつては珍しくそして不安さえ覚えたこの情景も、四年と言う月日が流れすっかり慣れた物になってしまった。
 ラジオ放送は、美沙には意味が分からない語も用いている。会話に支障の無い程度には言葉も覚えたが、古めかしい言葉や難しい語句は分からない事が多い。
 美沙達がいるのは、野外に張り出た店のカウンター席。一緒に座る大きな鎧の者が、ぽつりと呟いた。
「……ラジオで宗教放送?」
「神の代理人……って、何だこりゃ?」
 鎧に続いて言葉を発したのは、赤いコートに金髪を三つ編みにした小さな少年。
 店の店員は珍しげに四人を眺めていた。
「いや、俺にとっちゃあんたらの方が『なんだこりゃ』なんだが……あんたら、大道芸人か何かかい?」
 その言葉に、金髪の少年が飲み物を噴出す。
 少年の隣に座っていた美沙が即座にハンカチを取り出す。
「まったく、汚いなぁ。ほら、これ使いなよ」
「サンキュ、えーっと……」
「『美沙』。寒色の服は美沙って決めたの、エドでしょう」
 そう言ったのは、ハンカチを渡した少女の背後から顔を覗かせた少女。この少女も、全く同じ顔をしていた。双子……と言う訳では無い。どちらも、名を黒尾美沙と言った。暖色の服を着た方は黒尾、寒色の服を着た方は美沙と呼ばれている。
 エドは店員の言葉に食い下がっていた。けれども、派手な色のコートに派手な髪色の小さな少年、大きな鎧の者、細部まで瓜二つの少女二人。これ程奇妙な者達が連れ立って並んでいれば、大道芸人と思うのも無理が無いかも知れない。
「ところで、この放送何?」
「コーネロ様を知らんのかい?」
 尋ねたエドの言葉に、店員は驚いたように尋ね返す。
 知らないのかと言われても、旅人の身であるエド達が知る筈も無い。エドはストローを咥え、机に顎を乗せて聞く。
「……誰?」
「コーネロ教主様さ。太陽神レトの代理人!」
 店員に続いて、店にいた客達が口々にコーネロについて語り出す。何でも、奇跡の技と言う物を彼は使えるらしい。
 説明されても、エドの態度は相変わらずだった。宗教に興味は無い。そう言うと、彼は立ち上がる。
「ごちそーさん。んじゃ、行くか」
「うん」
 頷いて立ち上がったアルの頭が、頭上にあった何かに当たった。落下し割れて、それがラジオだった事が分かる。
「ちょっとぉ!! 困るなお客さん。大体、そんな格好で歩いてるから……」
「悪ィ悪ィ、直ぐ直すから」
「『直すから』って……」
「まあ、見てなって」
「偉そうに言ってるけど、直すのはアルなんだね」
 破片の周りに錬成陣を描き出したアルを見て、黒尾が肩を竦めて言う。
 錬成陣を描き終え、アルはその上に両手を重ねてかざす。
「そんじゃ、いきまーす」
 厳つい姿とは裏腹に少年のような高い声。次の瞬間、青い光がボッと陣に現れる。おののく人々。
 恐る恐る目を開けてみれば、ラジオは錬成陣の中心で元の通り宗教放送を流していた。エドが得意気に指をさす。
「これでいいかな?」
 店員は目を丸くし、先程まで確かに壊れていたラジオをまじまじと見つめる。
「……こりゃ驚いた。あんた、『奇跡の業』が使えるのかい!?」
「なんだそりゃ」
「僕達、錬金術師ですよ」
「エルリック兄弟って言やぁ、結構名が通ってるんだけどね」
「私達は違いますよ〜。エルリックでも、錬金術師でもありません」
 人々が兄弟の名に驚きざわめく中、美沙達はそれとなく訂正しておく。だが、訂正せずとも二人に注意を払う者などいなかった。皆、最年少国家錬金術師エドワード・エルリックの登場に、騒いでいる。しかし毎度の事だがその容姿からアルが兄だと間違えられ、エドがキレながら訂正する。見慣れた光景だった。
 騒ぎの中、ふと黒尾が立ち上がった。気付いたのは美沙だけ。美沙は、驚いたように目を丸くしていた。
「……どうしたの?」
 黒尾はじっと人垣の向こう、道の角辺りを見つめていた。その表情は、真剣そのもの。
 しかし、黒尾は言った。
「……ううん、何でもない」
「……」
 ――例え双子でも、環境が違えば全く違った性格になると言う。
 黒尾は浮かない顔をして再び席に着き、飲みかけのコーヒーに口をつける。
 美沙は、その様子を無言で見つめていた。
「こんにちは、おじさん。あら、今日はなんだか賑やかね」
「おっ。いらっしゃい、ロゼ」
 現れたのは、長い髪の若い女性。エドも表情は不機嫌ながらも、一端威嚇を止める。
「今日も教会に?」
 尋ねたのは、店員だ。物を言わずとも準備を始める事からして、彼女は常連なのだろう。
「ええ、お供え物を。いつものをお願い。
あら。見慣れない方が……」
「錬金術師さんだとよ。探し物をしているそうだ」
 ロゼと呼ばれた女性は、美沙達ににっこりと笑いかけた。
「探し物、見つかるといいですね。レト神の御加護がありますように!」
 遠ざかって行くロゼの背を見送りながら、客の一人がぽつりと呟いた。
「ロゼもすっかり明るくなったなぁ」
「ああ、これも教主様のおかげだ」
 美沙達は目をパチクリさせる。同じく不思議そうにするエドやアルを見て、店員が言った。
「あの子ね、身寄りも無い独り者の上に去年、恋人まで亡くしちまってさ……」
「あん時の落ち込みようと言ったら、可哀想で見てられなかったよ」
「そこを救ったのが、創造主たる太陽神レトの代理人、コーネロ教主様の教えだ!」
「生きる者には不滅の魂を、死せる者には復活を与えてくださる。その証拠が『奇跡の業』さ。お兄さん達も一回見に行くといいよ! ありゃ、まさに神の力だね!」
 熱く語る人々に比べ、エドの反応は冷めた物だった。
「『死せる者に復活を』ねぇ……。うさん臭ぇな」
「『不滅の魂』ってのが、良い物とも限らないしね……」
 続けて呟いたのは美沙だった。
 机の上に置かれたラジオからは、猶もコーネロとやらによる宗教放送が流れ続けていた。





 教会の入口に立ったのは、三人だった。エド、アル、そして美沙。重々しい扉を開き、三人は薄暗い教会の中へと入って行く。
 歩く三人の足音が反響する中、エドが美沙に言った。
「それにしても、珍しいよな。お前らが別行動を取るなんて。何かしたい事でもあったのか?」
 エドの言葉が静かな教会に反響する。
 アルが立ち止まり、美沙と同じ視線の高さへとかがみこんだ。
「どうしたの? さっきからずっと、何か考えてるみたいだけど」
 立ち止まった美沙は俯いていた。
「言ってよ。僕らで良ければさ」
「……『珍しい』なんて物じゃない。昔なら、あり得ない事だったんだ」
 一瞬何の事か分からず、エドとアルは目を瞬く。
「だって私達、同一人物なんだよ? 私はエド達と一緒に教会へ行こう、そう思った。けれど『黒尾』は違った。私別に、これをやっておこうとか思ったりなんてしてない。あの『私』は、私とは別の考えを持って動いたの。今までなら、あり得ない事だった。
最近、こういう事が多いんだよね。『黒尾』が、『美沙』とは別の事を考えてる。別の行動を取ってる。私自身の考えている事が分からない……。
正直、気味が悪いよ。まるで、偽者の私が勝手に動いてるみたいで……」
 しんとその場が静まり返る。
 沈黙を破ったのは、その場に現れた第三者だった。
「あら。確かさっきの……」
 ロゼだ。何処か寂しげな様子に見えるのは、気のせいだろうか。
 しかしそれも、直ぐに消えるようにして姿を消した。ロゼは明るく希望に満ちた様子で、レト教がいかに素晴らしいかを力説する。
 けれどもエドの反応は、やはり冷めた物だった。
「……ったく、よくそんなに真正直に信じられるもんだな。神に祈れば、死んだ者も生き返る……かい?」
「ええ。必ず……」
 そう言うロゼの目に迷いは無い。
 美沙はエドを見、横に立つアルを見上げる。『死んだ者が生き返る』。彼らは、それがあり得ない事なのだと誰よりも知っているのだ。……己が身を持ってして。
 エドは傍の長椅子に腰掛け、手帳を開く。
「水35リットル、炭素20キログラムアンモニア4リットル、石灰1.5キログラム、リン800グラム、塩分250グラム、硝石100グラム、イオウ80グラム、フッ素7.5グラム、鉄9グラム、ケイ素3グラム、その他少量の15の元素……」
 突然すらすらと読み上げだしたエドの言葉に、ロゼは怪訝気な顔をする。
「大人一人分として計算した場合の、人体の構成成分だ。今の科学ではここまで判ってるのに、実際に人体錬成に成功した例は報告されてない。『足りない何か』が何なのか……何百年も前から科学者達が研究を重ねて、それでも未だに解明出来ていない。
不毛な努力って言われてるけど、ただ祈って待ち続けるより、そっちの方がかなり有意義だと思うけどね」
 そう言って、エドは分厚い手帳を閉じた。
「因みにこの成分材料はな、市場に行けば子供の小遣いでも全部買えちまうぞ。人間てのはお安く出来てんのな」
「人は物じゃありません! 創造主への冒涜です! 天罰が下りますよ!!」
 ロゼの憤慨に、エドはただ笑う。
 美沙は黙ってエドの言葉を聴いていた。人の再生をも可能とする「奇跡の技」、レト神、創造主。エド達にとってそれらは、とうの昔に砕かれた夢だ。それは「あり得ない事」であると、彼らは知っている。
「錬金術師ってのは、科学者だからな。創造主とか神様とか、曖昧な物は信じちゃいないのさ。
この世のあらゆる物質の創造原理を解き明かし、真理を追い求める……神様を信じない俺達科学者がある意味神に一番近い所にいるってのは、皮肉なもんだ」
「高慢ですね。ご自分が神と同列とでも?」
「……そう言や、どっかの神話にあったっけな。『太陽に近づきすぎた英雄は、蝋で固めた翼をもがれ、地に堕とされる』……ってな」
 例えばこんな時、ふと思う。
 この兄弟は、美沙とは違う。美沙は決して、この二人の間に割って入る事は出来ないのだ、……と。
 ロゼはきょとんとした様子だった。

 花が舞い散り、拍手が喝采する中、豊満な身体の男が片手を上げ民衆に答える。男は舞い落ちる花の一つを手に取り、両手で包んだ。激しい光が瞬き、煙を立てながら花は大きな向日葵へと姿を変える。民衆の歓声と拍手喝采。
「……錬金術師さん達の見解は? どう?」
 美沙は、横に立つエドとアルを仰ぎ見る。
「どうもこうも、あの変成反応は錬金術でしょ」
「だよなぁ……」
 アルの言葉に同意するエドは、トランクの上に乗って遠くにいるコーネロを見ていた。
 美沙は辺りをきょろきょろと見回す。黒尾は、一体何処へ行ったのだろうか。店の前で別れてから、全く会っていない。思ったより早々に教会を切り上げてしまったが、黒尾は自分達に追いつけるだろうか。
「三人とも、来てらしたのですね」
 声がし振り返って見れば、ロゼが直ぐ傍にいた。彼女は誇らしげに話す。
「どうです! まさに奇跡の力でしょう。コーネロ様は、太陽神の御子です!」
 対して、エドの答えはやはり冷めている。
「いや、ありゃーどう見ても錬金術だよ。コーネロってのはペテン野郎だ」
「いくらなんでも、言い方ってものがあるでしょうに……」
 ロゼの表情を見て取り、美沙は苦笑して口を挟む。
「でも、法則無視してんだよねぇ」
「うーん、それだよな」
「法則?」
「質量保存の法則とか自然なんちゃらって奴?」
 四年もエド達と一緒にいれば、錬金術の大体の決まりも耳にし覚えるようになる。等価交換――それが、この世界の錬金術における決まりだった。
 クエスチョンマークを大量に浮かべているロゼに、エドとアルとで説明する。
「――その法則を無視して、あのおっさんは錬成しちまってんだ」
「だからいい加減、奇跡の業を信じたらどうですか!」
「兄さん、ひょっとして……」
 美沙は目を細め、コーネロの手を見つめる。太い指に付けられた指輪。その中心で赤く光る石。
 エド達の読む本を覗き見した程度でしか、見た事の無い石の絵。それは、赤い物体だと言われている。
「もしかして、あれが……?」
「ああ……ビンゴだぜ!」
 そう言ったかと思うと、エドはくるりとロゼを振り返った。先程までとは打って変わった態度で、にこやかに話す。
「おねぇさん、ボクこの宗教に興味持っちゃったなぁ! 是非教主様とお話したいんだけど、案内してくれるぅ?」
「まあ、やっと信じてくれたのですね!」
 ロゼは疑う様子も見せない。
 そこへ、聞き慣れた声が美沙達の名を呼ぶのが聞こえた。見れば、美沙そっくりの姿が人垣の間を縫ってこちらへと小走りに駆けてくる所だった。
「探したんだよ。教会行ったのに、いないから」
「ごめん、ごめん」
「丁度良いところに来たーっ!」
 張り上げられたエドの声に、二人はびくりと肩を揺らす。
「二人はいつもの頼んだぜ」
「はいはい」
「え? え? 何の話?」
 美沙は肩を竦め、返事をする。黒尾は目をパチクリさせ、エドと美沙とを交互に見ていた。





「ん〜……ちょっと今回は難しいかもなぁ……」
 廊下を行き来する教団の者達を扉の隙間から伺い、美沙は困ったように頭を掻く。
 教団の者達は武器を携え、一所に集まろうとしている。誰も彼も男ばかりだった。女性の姿は見えない。
「女は戦力にならないってか。舐められたものだね」
「まあ、エド達には確かに劣るからこっちに回ってる訳だけど。
それじゃ、美沙は事が終わったら、この中に紛れてくれる? あんた達探して教会の中入ったから、私の方が道分かると思うんだ」
「オッケー。見つからないようにね」
「そっちこそ」
 それから押し黙り、二人は人気の無い方へと歩いて行った。

 男は廊下を歩いていた。国家錬金術師がこの教会へと来ていると言う。捕らえようとしたが失敗、彼らは教主コーネロの元へと向かったそうだ。
 ふと、前方を教団の仲間が歩いているのが見えた。教団の者にしては長めのショートカットに、華奢な輪郭。その者が、するりと横の部屋へと姿を消した。そこは、各所の鍵を管理している部屋。係の者でない限り、入室は許されない。男は小走りに部屋の前に駆けつけ、中を覗き込む。
「おい。この部屋は立ち入り――」
「そこで何をなさってるんですか?」
「今し方、この部屋に無断で立ち入った者が――」
 言いながら振り返り、男は目を瞬く。そこに立つのは、間違いなく部屋の中へ入っていったように見えた者だった。
 この者は、部屋から出てきた訳ではない。では、自分の見間違いだったのだろうか。
 男は首を振る。
「いや……何でもない。覚えの無い顔だな。新入りか?」
「はい。万が一に備え、教主様の部屋の前へ集まるようにと、皆に伝えて回っております」
 二人は連れ立って、部屋の前から離れて行く。
「男にしては高い声だな。顔も女顔だし……」
「よく言われます。今度の休日、髪を短くしようと思ってるところですよ。教徒としては長過ぎかと思いまして」
「懸命な心構えだな」
 美沙はちらりと背後の部屋を振り返る。
 鍵は黒尾に任せた。後は、自分はエドとアルを待ち構える者達の中に紛れ込んでおくだけだ。
 男と共に教団の集まる所へと戻り、武器を受け取る。ざっと辺りを見渡せば、どうにも緊張感に欠ける様子だった。コーネロに元々付いて来た者達もいるだろうが、戦闘については大体が素人。武器もただの長い棒で、銃どころか剣や槍さえも所持していない。
 ――私が紛れ込む必要も無かったかもな……。
 美沙は部屋の扉へと目をやる。この中で、エドとアルはコーネロと対峙している。コーネロが指輪としてはめていた石、あれは恐らく賢者の石だ。エドとアル、そして美沙達が捜し求めていた物。二人が元の身体に戻る為に。そして、美沙が元の世界へと帰る手掛かり。
「死せる者の復活……人体錬成、ねぇ……」
 美沙はポツリと呟く。
 皮肉なものだ。自ら命を捨て死に損なう者もいれば、誰も望まないのに死んでしまい蘇らせようとされる者もいる。逆ならば良かったのに。そう、何度思った事だろう。
 ふと、もたれていた壁が震えた。驚いて背を離し、振り返る。青い光と共に、扉へと姿を変える壁。錬成反応だ。
 美沙が飛び退くのと同時に、扉が外側へと勢い良く開いた。教団の者達が呆気に取られている間に、飛び出して来た三人は走り去る。慌てた様子のコーネロが、エドが作ったであろう扉から出てきた。
「何をしておる! 追え! 教団を陥れる異教徒だ! 早く捕まえんか!!」
 咄嗟に駆け出す教団の者達。美沙も、それを追って駆け出した。
 人垣の中まで駆け込み、大きく棒を振りかぶる。もちろん、狙うはエドやアルではない。そのままその場で、大きく薙ぎ払うようにして振り回す。
 突然の味方からの攻撃に、周囲にいた男達が倒れ吹っ飛ぶ。
「貴様何をしている!? そっちは仲間だろ!」
「悪いけど、仲間じゃないんですよね」
 美沙は猶も棒を振り回し、集団の前まで出る。エド達に追いつこうとしていた先頭陣に、殴りかかる。攻撃は受け止められたが、足が止まればそれで良いのだ。突き出された棒を潜り抜け、他の者の足を止めに行く。
「美沙!」
 気付いたアルの声が響く。
「後ろは任せて! あんた達は前に進みな。私も直ぐに行く」
「サンキュ、美沙!」
 エドは振り返らずに言い、右手の機械鎧に凶暴な刃を錬成する。
 美沙はゆっくりと振り返り、棒を構え直す。
 立ち直った男達がやってくる。小馬鹿にしたように、ニヤニヤと笑っていた。
「退きな、譲ちゃん。怪我したくなかったらな。譲ちゃん一人でこの人数倒すのは、無理があるだろ?」
「ええ、無理ですね。でも別に、こっちとしては倒さなくても邪魔になれれば良いんで」
 そう言って、美沙は不適な笑みを浮かべた。


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2009/04/07