町に響き渡る轟音。美沙は目の上に手をかざし、遠くにある二つの影を見やり軽く口笛を吹く。
「あの女の子、やるゥ。エドと対等に渡り合えてるじゃないの」
「本当、すっごい能力。サルみたいよ、あの女の子」
美沙の隣に立つウィンリィは、望遠鏡を覗いている。その向こうには、アルフォンス。彼の足元には、大きな錬成陣があった。
「上手くここに来るかな」
「うん。エドなら、何とかするでしょ」
機械鎧の聖地、ラッシュバレー。ウィンリィの強い希望により、美沙達はこの町に立ち寄っていた。
流石と言うべきか、町には何処もかしこも機械鎧。機械鎧同士の腕相撲なんてものもやっていて、そこで目立ったエドは身包みを剥がされ機械鎧技師の鑑賞品となった。そして気が付くと、服を脱がされると共に錬金術師の証である銀時計を奪われていたのだ。
質屋に入れられるのは防いだものの、銀時計は未だ犯人の女の子の手中。錬金術も何も無いにも関わらず、驚異的な運動神経でエドの追跡をかわし続けていた。遠くで光る錬成反応の光。どどん、と響く低い音。それらは、徐々に美沙達の方へと近付いて来る。
美沙は、アルを仰ぎ見る。
「ね。やっぱあれって無くしたりすると、再発行に莫大なお金取られたりとか国家錬金術師の資格剥奪されたりとかするの?」
「さあ……実際どうなるのかは、僕にはちょっと。でもやっぱり、不味いんじゃないかな。見付かったなら、取り返した方がいいよ」
「うん、別にそれをとやかく言ってる訳じゃないよ。単に、どうなるのかなあって。エドの奴、かなり必死だったから」
「兄さんは頭に血が上りやすいからねぇ」
「まあ、それはそうなんだけど……」
「あ、来たわよ」
ウィンリィが声を上げる。指差す先には、店から出て来る色黒の女の子。店の外――つまりは、アルの描いた錬成陣の中へ。
美沙とウィンリィは、少し下がる。呆気にとられる女の子の前で、アルは陣へと手をかざした。
「待ってたよ」
錬成陣が光り、地面から金属製の柱が伸びる。それは鳥籠のような形となり、少女を中に閉じ込めた。
「お見事!」
ウィンリィが言う横で、美沙もパチパチと拍手を送る。
エドも、怒り心頭でやって来た。
「へっへっへ。観念しやがれ、このアマ!」
「兄さん、それメチャクチャ悪役の台詞」
表情さえもあくどいエドに、アルが冷静に突っ込みを入れる。
これでもう、逃げられない。そう思ったのも束の間、彼女の足に仕込まれていた刃が、あっさりと籠の一部を斬り壊した。
「珍しくもないでしょ。こんな街なんだし。――因みに、左足には一、五インチカルバリン砲が」
言って、彼女は平然とその砲撃をぶっ放す。
美沙、エド、アルは目を白黒させる。この子は、両足に機械鎧を付けてあれだけ動き回っていたのか。
そそくさと逃げ出そうとする彼女を捕らえたのは、エドでもなく、アルでもなく、ましてや美沙でもなく、ウィンリィだった。
少女の方も油断していたらしく、弱った表情になる。
「でかした、ウィンリィ! その盗人、放すんじゃねーぞ!」
「ええ……放すもんですか」
ウィンリィは目を輝かせる。
「その機械鎧、もっとよく見せてくれるまで放さない!」
No.19
地面から這い上がって来る熱気。流石南部、太陽の照りつけも厳しい。うだるような暑さの中、美沙達はひたすらに山道を登っていた。
女の子は、パニーニャと言った。彼女の機械鎧に興味を抱いたウィンリィは、銀時計盗難を見逃す事を条件に機械鎧の製作者の紹介を頼んだのだ。当然エドは文句たらたらだったが、銀時計を奪われたままでは逆らいようも無い。
岩肌の露な細い山道を登り、吊橋を渡る。本当に人が住んでいるのかと疑わしく思うような場所に、その家はあった。
中にいたのは、機械鎧技師の男性。
「こんにちはっ」
「パニーニャ。お前、こんな山奥までこまめによく来るなあ」
「今日はお客さんを連れて来たよ」
「へえ。機械鎧の注文かな……って、でかっ! ちっさ!」
アルがエドを押さえる傍ら、パニーニャはウィンリィを彼に紹介する。美沙達は、「ウィンリィの友達」として一まとめに紹介された。
奥から、妊婦と思しき女性も出て来る。
「あら、パニーニャ。今日はお友達を連れて来たの?」
「サテラさん、こんにちはっ」
女性の名前はサテラだとして、男性がパニーニャの言っていたドミニクだろうか。無愛想だと聞いていたが、とてもそんな風には見えない。
ウィンリィが、尋ねてみたところ、やはり彼の事ではなかった。彼はリドル。ドミニクはその父だった。ウィンリィが弟子入りを頼み込むも、一向に聞く耳を持たない。
「ごめんね。うちの親父、頑固者だからさ。あきらめてよ」
「おう! さっさと帰れ!」
ドミニクが言い放つと同時に、ピシャリと窓の外が光った。ぽつりぽつりと雨が降り出し、玄関扉を開けた時には大降りとなっていた。
「……帰れません」
雨がやむまでの間、美沙達は家に置いてもらえる事になった。これ幸いと、エドはアルをつれて、直談判をしにドミニクの仕事場まで引っ付いて行く。美沙はそのまま食卓に居座り、リドルの入れてくれたコーヒーをいただいていた。
パニーニャはカップを脇に置いて大箱の上に座り込み、足をさすっている。
「痛むの?」
美沙は尋ねた。エドが前に、雨の日は機械鎧の付け根が痛むと言っていた気がする。
パニーニャは頷く。
「やっぱり、雨だとね」
「ねえ。パニーニャはどうして、機械鎧に?」
ウィンリィの問いかけに、パニーニャは答えた。列車事故に巻き込まれて、と。
「身寄りも無い上に歩けなくなったら、もう気分は『この世の終わり』って感じよね。
地べたを這いずり回って生きた月日はそんなに長くなかったけど、あたしをどん底に突き落とすには充分な時間だった」
絶望の淵にいたパニーニャに、希望を与えてくれたのがドミニクだった。辛いリハビリ、けれどもそれを乗り越えた先の喜び。改めて、機械鎧技師の凄さを思い知らされる。
そしてパニーニャは、ドミニクに作って貰った足を分割で支払うためにここへまめに通っているのだとか。
「でも、絶対に受け取ってくれないんだよね、ドミニクさん。受け取らない上に、何かにつけ『メンテナンスだ』って足の調子を見てくれるしさ。申し訳なくて涙が出ちゃうよ」
「……あのね」
ウィンリィはこめかみを押さえる。そして、ビシッとパニーニャに指を突きつけて言い放った。
「本当にドミニクさんに感謝してるんなら、スリなんてやめなさい!」
「え〜……でも、スリ稼業でもやらなきゃ払いきれないし……」
「ドミニクさんが誠意でくれた両足よ。あんたも誠意で応えなきゃダメ! 高い安いの問題じゃないのよ。スリは犯罪なの!
ドミニクさんは死人みたいだったあんたを、こんなに元気にしてくれたんだもの。例え一生かかっても、こつこつ真面目に返済する価値あるじゃない!
エドならきっとこう言うわね。『等価交換だ』って!」
パニーニャはウィンリィの気迫に気圧されたように呆然とし、それから己の足を見下ろした。生きる希望となった、彼女をどん底から救ってくれた、その足。
「……そっかぁ。そうだよね。こつこつ真面目にか……。――よし! スリはやめる! 地道に働いて返そう! うん、そうしよう!」
パニーニャはパッと明るい笑顔になって、美沙らを見上げる。美沙も、微笑み返した。
「パニーニャは身体能力高いんだから、きっと直ぐ仕事も見つかるよ。あのエドと渡り合う子がいるなんて、びっくりしたもの」
「ありがとう。
……あ、エドと言えば。これ、返さなきゃ」
パニーニャが引っ張り出したのは、エドから盗んだ銀時計。ウィンリィが受け取る。
「へー。これが国家錬金術師の証かあ……。初めてまじまじと見たわ」
「え!? あのちっさい子、国家資格なんて持ってるのかい!?」
リドルが素っ頓狂な声を上げる。エドが聞いたら、ぶち切れそうだ。
パニーニャが、トンと軽く蓋を叩いた。
「これ、蓋が開かないんだよね。あいつ、頑なに『開けるな』って言うだけで、中に何が入ってるのやら……」
「『開けるな』?」
そんな風に言われれば、見てみたくなるのが人の性で。
パニーニャはニヤリと笑って言う。
「見られたら恥ずかしい物が入ってると見たね!」
「ほほう!」
ウィンリィも、美沙も、リドルまでもが面白そうに相槌を打つ。
ウィンリィは愛用の工具を何処からとも無く取り出した。
「あたしの出番かしらね」
「あんたのそういうトコ好きよ」
ウィンリィは細い工具を蓋と本体の間に差し込む。銀時計は錬金術で固められているらしく、なかなか開かない。
四苦八苦の末、パキンと軽い音を立てて蓋は開いた。
「エドのお宝、はいけーん!」
ウィンリィの後ろから、美沙も銀時計を覗き込む。何が出て来るのだろうとワクワクしていた気持ちは、一気に萎んで無くなった。
蓋の内側に刻まれた文字。この世界に来る前の美沙でも分かったろう、簡単な英文。
『Don't forget 3. OCT. 11』
美沙も、ウィンリィも、黙り込む。そんな二人を、パニーニャとリドルは不思議そうに見つめていた。
すくっとウィンリィが立ち上がった。銀時計をパニーニャに返し、涙ぐむ瞳をぐいっと擦る。
「私……もう一回、ドミニクさんに弟子入りお願いしてくる!」
きっぱりと言い放ち、ウィンリィはビシッと背筋を伸ばして奥の部屋へと去って行った。
十月三日。忘れよう筈も無い。
エドとアルが自分達の家を燃やし、旅に出た日。
過去の戒めを、国家錬金術師の証の内側に刻んで。あの小さな背中で、どんなに大きな物を背負い込んでいる事か。更には、美沙の事まで背負い込もうとして。
「ねえ、美沙。一体……」
尋ねかけたパニーニャの言葉は、途中で途切れる。
ドタバタと近付いて来る足音。そして、勢い良く扉が開き、ウィンリィが飛び込んで来た。
「リドルさん、大変!! 奥さんが!」
予定より早く、サテラは産気づいていた。外は豪雨。とてもではないが、妊婦を連れ歩く事など出来ない。橋は落雷で落ち、已む無くドミニクは数倍遠い隣町へと続く旧道を、医者を呼びに下って行った。
しかし、赤ん坊はドミニクの帰りを待ちはしなかった。
医者を待つ時間は無い。そう判断したウィンリィは、自分達で赤ん坊を取り上げる事を宣言した。
「美沙、パニーニャ、中で手伝ってくれる?」
「……あ、うん」
美沙とパニーニャは、慌ててウィンリィの後について行く。室内では、リドルがサテラの手を握り、励ましていた。
「美沙、持って来たタオルを掴めるように結んで。パニーニャは、こっちに広げて」
言われるままに、美沙とパニーニャはあたふたと動く。
この中の誰も、お産に立ち会った経験は無い。頼れるのは、ウィンリィの医学書で聞きかじった知識のみ。美沙も、ウィンリィの指示を仰がなければ何も出来ない。
――情けない……!
サテラを除けば、この中で女性の年長者は美沙。美沙がただの四、五歳年上なだけでなく、十や二十も年を取っていて子持ちならば、自分の経験から助け舟を出す事も出来ただろうか。エドやアルも自分達で物事を抱え込もうとせずに、もっと美沙を頼ってくれただろうか。今の美沙では、頼られるどころか。
――ただ、負担になってるだけじゃない……!
パニーニャは血に弱いらしく、いざ出産の段になると次第に顔色を悪くして行った。美沙も決してショックを受けなかった訳ではないが、意地でもウィンリィの横にい続けた。手伝いを頼まれたのだから、せめて、これくらいは。
とは言え美沙に出来る事などほとんど無く、ただひたすらサテラの枕元で声をかけていた。
「大丈夫ですよ。赤ちゃんも頑張ってますからね。ほら、力抜いてください」
テレビで聞いた事のある呼吸法を、サテラに取らせる。それぐらいしか、美沙に分かる事は無い。
血塗れの赤ん坊を見て、限界を超えたパニーニャは部屋を飛び出して行った。彼女も彼女なりに、恩のある彼女達の傍にい続けようとしたのだろう。ウィンリィに指示された通りにへその緒を切ると、産声が室内に響いた。
リドルに赤子を預け、ぺたりと、ウィンリィはその場に座り込む。
美沙はその横にしゃがみ込む。ふと手を伸ばしかけ、自分の手も汚れている事に気付き引っ込めた。
「お疲れ様、ウィンリィ。すごいよ……ホントに、すっごい」
上手く言葉が出て来ず、ただ「すごい」と繰り返す。ウィンリィは気の抜けた笑みを浮かべた。
エドとアルも、駆け込んで来た。彼らは文字通り待っているしかなく、やきもきしていた事だろう。必死の形相で、美沙達に問う。
「どうしたんだよ、おいっ!」
「ウィンリィは、ちゃんとやったよ」
美沙の言葉に続き、ウィンリィが震える手で部屋の奥を指差す。ベッドに横たわるサテラと、その傍らに瞳を潤ませて立つリドル。彼の手には、取り上げたばかりの赤ん坊。
「……うまれた――!!」
エドとアルは大声を上げ、万歳した。
「なんだよ、パニーニャ! ビビらせんな、こんにゃろー!」
笑いながら、エドは部屋の外にいるパニーニャに野次を飛ばす。
「頑張ったな、サテラ。ウィンリィちゃんもありがとう」
「後は産湯をお願いします」
ウィンリィは、エプロンを外しながら言う。
「ああ、そうだった!」
リドルは慌てて赤ん坊をサテラに預け、鼻歌を歌いながら湯を取りに行った。
いつしか雨はやみ、すっかり日も暮れていた。ドミニクも医者を連れて帰宅し、サテラも無事診察を終えた。
その晩はレコルト家に泊まり、翌朝、リドルに道を教わって美沙らは旧道を下山した。行きより皿に長い道のりを歩き、隣町へ。そこから馬車で、ラッシュバレーへと戻る。疲れたのか、馬車の中でエドもウィンリィもぐっすりと眠っていた。
こうして寝顔を見ていると、四年前に比べ大きくなれども、まだまだ子供だと思う。けれども内面は確かに変わっていて、恐らく美沙が同じ年だった頃よりも彼らの方がしっかりしているだろう。
窓の向こうに見える山々。その手前に広がる町並みは、徐々に活気を増していく。機械鎧の使用者も、ちらほらと見え出してきた。
機械鎧の技術のみならず、うろ覚えの知識をフル活用して命を取り上げたウィンリィ。エドとアルは、言わずもがな。
――私って、何も無いな……。
生活環境、教育環境で言えば、三人よりも美沙の方がずっと良かったはずだ。世界規模で見ても識字率は高く、教育が義務であり権利が保障された国。義務教育を終えても更に高校へと進学する子供が多く、美沙も例に漏れなかった。毎朝の小テスト、学期に二度、部活も一時的に活動停止して行われる定期試験。
優等生までとは言わないが、決して悪くない成績をキープしていた。それでもこの世界においては何の意味も成さず、周りが専門的過ぎて置いてけぼりを食らっている気さえしてしまう。
このままで良いのだろうか。このままただ、エドとアルに金魚の糞のようについて行くだけで。確かに、二人の人体練成時の現象と美沙がこちらへ来た時の現象には、共通するものがあるかも知れない。二つの出来事の間には、関連があるかも知れない。
だけど――
「あっ。そろそろだ!」
パニーニャの声で、美沙は我に返る。エドとウィンリィを起こし、一行は馬車を降りた。
荷物を取りに、ホテルへと寄る。部屋を取ったものの、結局、ここへ宿泊する事はなかった。もっとも、美沙達の方はウィンリィが継続して泊まるかも知れないが。
「――でも、良かったよね。他の機械鎧技師、紹介してもらえて」
「ええ。ねえ、パニーニャ。ガーフィールさんって、どんな人?」
「え? んー……変わった人、かな……悪い人ではないんだけど」
パニーニャは困ったように笑って、肩をすくめる。
出産の事があっても尚、ドミニクは頑として弟子を取ろうとはしなかった。けれども、感謝しているのは確かで。機械鎧技師としてのウィンリィの腕も認めていた彼は、ふもとの町に住む別の技師を紹介してくれたのだ。仕事場へも、たまになら見に来て良い、と。
「……美沙も、パニーニャも、昨日はありがとね」
美沙とパニーニャは、きょとんと目を瞬く。
「サテラさんの出産。正直、私一人じゃ不安だったもの」
「あたしは途中でダウンしちゃったけどね。落ち着いてて頼りになる美沙とは、大違い」
パニーニャは軽い調子で言って、肩をすくめる。
美沙は戸惑うばかりだ。
「何言ってんの。私、頼りになんて……落ち着いてたんじゃなくて、指示された以外にどうして良いか分からなかっただけだしさ。私、何も専門知識とか無いから……頼りになら、ウィンリィの方がよっぽど……」
「もう。謙遜し過ぎないの。エドとアルが励ましてくれて、美沙とパニーニャが傍で支えてくれて、もちろんサテラさん達も頑張って……皆の力があったから、赤ちゃんは無事産まれてこれたのよ。
錬金術も、医学知識も無くたって関係ない。美沙はお姉さんみたいな、友達みたいなもので……ただ傍にいてくれるだけで、凄く心強いんだから」
「ウィンリィ……」
こみ上げて来るものをグッと堪え、代わりに美沙はガバッと彼女を抱きしめた。美沙の珍しい行動に、ウィンリィは狼狽の声を上げる。
エドの大声が廊下から響いて来て、美沙はウィンリィを解放した。
「おーい!! 早くしろ、美沙! 汽車出ちまうぞ!!」
「まったく。あんた達は、いっつも忙しないんだから」
「アハハ」
美沙は肩をすくめて笑う。
広げもせずに置いたままの小さなトランクを片手に提げ、美沙は部屋を出る。ウィンリィとパニーニャも、見送りに付いて来た。エドとアルは既に廊下の端まで行き、手招きしている。
「急げ急げ! 走るぞ!」
言うが早いか、エドは踵を返し駆けて行く。
受付に叩きつけるように宿泊代を支払い、美沙達は青空の下へと飛び出した。
美沙が旅に同行する意味が、果たしてあるのか。答えはまだまだ見つからないけれど、それでも美沙の居場所はここしか無いから。美沙も関係している可能性がある限り、後を二人に任せて投げ出す訳にもいかないから。
前を走るエドとアルの背中を追って、美沙は駅へとひた走る。
2012/06/27